タイトルが間違っている

何故FF11はあそこまでストレスの高いMMOになってしまったのか - pal-9999の日記
せっかくなので釣られてみる。
結論から言ってしまえば、ここで挙げられてる問題点はサービス開始から現在に至るまで、多くのユーザが言い続けてきたことだし、また開発の方も十分認識していることだと思う。
内容的には、「FF11をやっておらず、FF11以外のMMOを十分やってきた人向けの書き方」という印象を受けた。MMOを全くやらない人や、FF11だけやってきた人には用語が全くわからないだろう。FF11についての記事なのに、そのあたりはちょっと不親切、というか読者の想定が甘いのではないかと。


各問題点について見ていく。

クラスバランスの悪さ

ジョブ列記するならちゃんと全部列記しろと。暗黒騎士獣使いはどこいった?
しかし、これはもう本当に初期から言われていた。深刻な後衛不足。
サポートジョブのシステムがあるから、黒魔道士赤魔道士も、サポ白でケアルし続け、ジョブ本来の役割を果たせない時代があった。
最初の拡張ディスク「ジラートの幻影」でジョブが追加されたが、追加ジョブは

召喚士以外は前衛アタッカー(melee)、召喚士は後衛アタッカー(nuker)。healerはいない。召喚士については、前述の黒・赤の状況が改善された後も、常にサポ白でケアルを要求される状況が長く続き、「ケアルタンク」と揶揄された。
この状況に対して、次のような解決策が図られた。

これらの追加・修正・技術確立により、またサービス開始から時間が経つことによるユーザの「複数ジョブ持ち」化により、後衛不足ということはあまりなくなった。


また、回復が「ケアルのみ」というのは、若干ミスリードだ。一応、サービス当初から「リジェネ」が存在する。リジェネの方がMP効率はよく、いかにうまくリジェネを使って前衛のHPを保てるか、というのは後衛の腕の見せ所である。とはいえ、大ダメージを喰らったらとりあえずケアルはするのだし、回復の主体がケアルであることは間違ってはいない。
現在はどうかというと、前述のヒルブレ、青魔法による回復、踊り子ケアルワルツドレインサンバなどがある。特にドレインサンバは、いわゆる「モグラたたき」ではない回復方法、という点で一線を画すだろう。


このように、後衛・中衛ジョブの拡充などにより、ジョブのバリエーションという意味では、バランスは大いに改善されている。もっとも、問題点も多々あり、どのコンテンツでも活躍できるジョブがある一方で、どのコンテンツにも居場所がない(とされている)ジョブもある。
方向性としては問題解決の方を向いていても、実際に解決されているわけではない。しかし開発側もこれらの問題点は十分把握しているだろうし、しがらみのない14では、これまでの経験や他社製MMOの検討を生かして、(初期FF11に比べれば)遥かに良いバランスで設計してくるのではないかと思う。

戦闘中に座ってMPを回復可能

これに対する解答は簡単で、「座らなくてもMP回復可能にした」「座ったときのMP回復量を多くした」となる。MP回復が多い状態でバランスを取り直した、ということ。
まず、MP回復手段として

を用意。更に、座ったときのMP回復量を増やす装備品群を大量に追加。また、サンクションシギルにリフレシュ効果を選択可能に。
これらにより、一切ヒーリングせずに、あるいは時々、短時間座るだけで、延々と戦闘を継続できるようになった。
また、パーティ戦術も洗練されてきており、「マンガジョブ」と揶揄されたモンクですら、しっかりした動きをしようと思うと戦闘中のidle timeはあまりない状況である。

破綻を免れ得ない経済システム

一時期はインフレがひどかったものの、現在はRMT業者のアカウント凍結や、システムへ回収する手段の追加などにより、ゆるやかなデフレ状態である。重要なギル回収手段の一つであった、止まっている砂時計の値段が100万ギルから50万ギルへ値下げされたほどだ。
RMT業者への対策という意味で、開発側は経済システムについては特に注意を払ってきたと思う。デザインの段階ではそれほど考慮していなかっただろうが、ひとたび競売による流通システムが確立されてしまうと、経済が破綻したらゲームそのものが成り立たなくなってしまうからだ。また、普通のユーザの活動がRMT業者によって妨害されることも、対策を強める重要な動機の一つだろう。結果として、MMOとしては世界的にもまれに見るほどの対策を行っているのではないだろうか。

ゲーマーの学習曲線を無視したクラスデザイン

ウェポンスキルがすべてであるかのような書き方をされているが、これは完全にミスリード
例えばシーフはLv15で不意打ちを習得し、Lv30でだまし討ちを習得する。これらはいずれも1分間隔で使用可能なアビリティであり、パーティ戦術によって、どのように使うのか選択を迫られることになる。これは最初期から存在したアビリティだ。このようなアビリティを、レベルが上がるとともに少しずつ覚えていくのである。
FF11の場合、ジョブの個性は「TP消費でWSを撃つ」ところにあるのではなく、アビリティにある。確かに歴史の中でアビリティを追加したり、ジョブを追加したり、武器種を追加したりして調整してきた部分はあったが、最初期においてさえ「WSを撃てて連携さえできればあとはどうでもいい」というのは、あまりにもテキトーではないだろうか。システムの解明が進んでいなかったこともあり、戦術が未熟だったとしても。いかにタイミング良くWSを撃つか(これは連携のためだけのものではない)というだけでなく、如何に効果的にアビリティを使うか、というのが、(特に前衛の)考えどころだと思う。
初期がひどかったとはいえ、「学習曲線を無視した」とまではいえないと思うのだがどうだろう。


ちなみにDoT専門職は今でも……事実上は無い。本当は学者をその位置に据えたかったのかもしれない(学者専用のDoT魔法がある)が、現在はあまりうまくいっていない。
赤魔道士ソロでDoTだけで強い敵を倒す戦術がかつては存在したのだが、これはキープに繋がるということで、ハイパー化導入により、使える場面が限定されることになった。

最後に

tank and spank以外の戦術は、開発によって潰されてきた歴史がある。戦術のハイパー化導入もそうだが、黒魔道士軍団による範囲精霊魔法一斉砲撃戦術が累積魔法耐性導入で不可能になったり。黒ソロでペット狩りなどは今でも行われてるけど。
デュナミスにおいてよく行われるような、大リンクした敵を一斉に寝かして1匹ずつ対処する戦術とか、マラソンとかはtank and spankのバリエーションに過ぎないだろうし……WoWではどういう戦術が使われているのか、ちょっと気になる。


結局のところ、

まぁ、ともかくも、簡単にFF11がストレスの高いMMOになってしまった原因としては、

1 idle timeを無くす為のMMOデザインがなされていなかった事

2 ゲーム内における経済システムの根幹である貨幣システムに致命的な欠陥をもっていた事

の二つが大きいと個人的には思っている。

何故FF11はあそこまでストレスの高いMMOになってしまったのか - pal-9999の日記

というのは正しくて、開発側としてもいろいろと対策を施してきた。ブコメにあるみたいに短時間でできるコンテンツ(アサルトやカンパニエ等)を増やしたり。


つまり、言ってることはすこぶる正しい。否。正しかった。
誰もが承知していて、とっくに解決策が施されているのだ。完璧ではないにせよ。
正しいタイトルは

何故FF11はあそこまでストレスの高いMMOになってしまっ「ていた」のか

ですね。